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2024年01月04日2024年01月04日

地方税

ふるさと納税制度の功罪

新年あけましておめでとうございます。

 

と冒頭に新年の挨拶をいたしましたが、大きな災害から始まり暗雲立ち込める2024年になりました。

この度の能登半島地震でお亡くなりになられた方々、そして、支援作業中において生じた羽田空港における事故において命を落とされた海上保安庁の乗組員の方々には心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

また、現在も避難を余儀なくされている被災地の方々および救助・復旧にあたられている方々におきましては、心身の健康を祈りつつ、復旧・復興が一日でも早く進むことを心からお祈りしています。

 

今回は、私たちが被災地を支援する方法の1つとしてふるさと納税制度についてお話したいと思います。

 

ふるさと納税制度とは

ふるさと納税制度は2008年から始まった寄付金の制度です。具体的には、個人が地方自治体に寄付をすることで、所得税および住民税の減税をうけることができるという制度です。総務省は、ふるさと納税の意義として次の3点を挙げています。

 

 

①納税者が寄付先を選ぶ、または使途を選択することができる

 

②故郷を含めお世話になった地域に恩返しをすることができる

 

③自治体はPR力を高めることができる

 

 

私もそうですが地方出身者は、故郷で学生時代を過ごすことにより地域の恩恵を受けながらも、社会人としては上京するなどして収入を得ることによって、東京に納税をすることになります。ようするに、地方は税金を投資して個人を育てたにも関わらず、成長した個人は地方に税金を納めないという矛盾が生じることになるのです。

 

この制度は、秋田の村出身である菅義偉前首相の肝入り事業ですし、②はふるさと納税制度にとって一番重要な目的なのではないかと私は思います。もちろん、①も納税意識の醸成という意味では非常に重要だと感じています。

 

過度な返礼品競争

ふるさと納税制度には常に付きまとう問題ですが、課題の1つとして過度な返礼品競争が挙げられます。制度創設当初は金券や返礼率が高い物品が用意されるなど、到底寄付の返礼とは思えないようなものがありました。返礼品の過当競争については、総務省の指導では改善が見られず、法改正に至った経緯には、自治体が国に従わないこともあるのだなと若干驚きもしました。その流れで泉佐野市と総務省が裁判沙汰になったことは当時も話題になったところです。

 

現在は、返礼品は地場産品に限ること、返礼率は3割を上限とすること、さらには返礼品を含めた寄付金募集費用を5割以下にすることが定められており、規制は強化される方向にあります。

 

ふるさと納税を通じた被災地への寄付

ふるさと納税制度の課題として返礼品競争についてお話ししました。一方で、ふるさと納税制度が非常に有効に機能する場面もあります。それが今回のような災害が起きた場合の被災地への寄付です。納税者が寄付先や資金使途を選ぶというふるさと納税の理念に合致する制度の利用方法だと思います。

 

被災地への寄付方法は、民間企業や赤十字社、政治団体を経由する方法などさまざまですが、ふるさと納税が寄付者の税負担が一番少なくなる寄付方法となります。各ふるさと納税サイトにおいても災害寄付についてはマージンをとらないとしているサイトも多く、ほぼ真水として寄付金を自治体に届けることができるでしょう。

 

民間企業を経由した寄付の中には、マッチング寄付といって、集まった寄付額に民間企業が一定額を上乗せして被災地に届ける方法を採用しているところもありますので、より効果的に寄付をされたい方はそのような企業を探してみるのもよいかもしれません。

ただし、くれぐれも募金詐欺にはひっかからないようご注意ください。

 

おわりに

私の住んでいる世田谷区はふるさと納税による資金流出ランキングでは常に上位に位置する自治体で、区長の苦言もよく耳にします。私自身も以前はふるさと納税をしていましたが、ここ5年くらいはご無沙汰です。やはり、ふるさと納税制度の理念をもとに適切に運用されていないと感じるからです。とはいえ、ふるさと納税をしている人を批判するつもりはありませんし、お客様から限度額を聞かれたら計算してあげたりもします。

 

そういえば以前、熊本地震の際に寄付を迷っていた知人にふるさと納税を後押ししたことを思い出しました。どの市町村に寄付するか迷うこともあるかもしれませんが、例えば石川県などの県単位でもふるさと納税はありますので検索してみるとよいでしょう。

 

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