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2021年07月24日2021年07月24日

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租税教室

こんにちは、世田谷区で税理士をしている井戸川です。

いよいよ東京オリンピックが始まりましたね。

コロナ禍で賛否のあるところですが、

ここを一つの目標としてきた選手のみなさんには、

悔いのない大会にしてほしいなと思います。

 

さて、そんな中、私の一つの目標というわけではありませんが、

先日、世田谷区立船橋小学校で小学6年生向けに租税教室を開催してきました。

今日はそのことについてお話ししたいなと思います。

租税教室とは

税理士には、税務相談や税務申告書作成などの仕事がありますが、

これらの仕事は無償独占業務として、税理士以外の人が無償であっても行うことができないように法律で守られています。

だからというわけではないですが、

通常業務以外にも社会に役立つ公益的な活動もしましょう!

ということが日本税理士会連合会の会則に定められており、

その公益的な活動の1つが租税教室です。

 

さて、租税教室の対象はというと、下記の人たちです。

①小中高、大学の学生

②小中高の教員

③社会人

わざわざ列挙されていますが、結局のところ全国民ということでしょうか。

私の地区では小学生向けに行うことが多いようですが、

地域によっては様々なところで開催しているようですね。

 

確かに最近は、会社員からフリーランスへの就業形態の転換が流行っていますし、

社会人向けの租税教育も必須な環境にありそうです。

また、音大や美大など、そもそもフリーランスの可能性が高くなりそうな人たち向けには実施すべきと感じます。

 

対象者によって、どのような授業をするかは異なると思いますが、

今回の小学生向けには、税を身近に感じてもらい、

税の役割や税の集め方・使われ方を通して社会の仕組みをしってもらう、

というような大まかなテーマが存在します。

きっと大学生や社会人向けとなれば、実際の確定申告の方法などがテーマとなってくるでしょうね。

先生をやってみて

今回、私は初めての租税教室ということで、本当は見学だけでも良かったのですが、

それだけだとちょっと居心地が悪いなぁと思い、一部だけ授業を受け持たせていただきました。

勇み足だったかもしれませんが・・・

 

どのような授業をするかは、ひな型的なものはあるものの、

実のところ税理士会の支部によって結構違いがあるようで、

ある程度の型を定めてきっちりやるところと、

時事ネタを含めてオリジナリティをもってやるところと様々なようです。

私の所属している北沢支部はというと、

①税金クイズ

②税金の集め方・使われ方の講義

③税金集めゲーム

という3部構成となっています。

 

①と③は講師の腕が試されそうなので、

とりあえず話すべきことを話せばよいだろうかと②を私は受け持ちました。

とはいえ、ただただ話すだけだと子どもたちも疲れてしまうのかな。

一応の準備はしていきましたが、反省すべき点もあったように思います。

 

どのようなことをお話したかというと、具体的には次のような感じです。

①みんなも既に払っている税金は?

②みんなは消費税を税務署に納めていないけど問題ない?

③みんなから税務署に消費税が納められる流れ

④今の消費税率は高い安い?

⑤日本の財政収支

⑥税金の集め方・使われ方はどうやって決める?

こんな感じで質問やアンケートなどを多めにして子どもたちになるべく参加してもらえるようにしたつもりです。

台本はがっつり作っていきました(笑)

当日は台本を参照しながらという場面はなかったですが、

しっかりお守りとして手元に持っていました。

 

実際に3クラスでそれぞれ15分くらいの持ち時間で担当しましたが、

⑤の話はやはりつまらなそうにしてたかもなという印象です。

なので、2クラス目、3クラス目ではだいぶカットしました。

どうしても前の方に座っている子どもに集中しがちで、

後ろの方の子どもたちの反応がどうだったかは少し心配です。

もっと全体を意識しないといけないですね。

あと、私自身がけっこう耳が遠くて、

せっかく質問に答えてくれた子どもの声が聞き取れないということが多発しました。

想定している答えのときは大丈夫なのですが・・・

何度も聞きなおされると、やはり気分は悪いですよね。

 

子どもたちから直接感想を聞く時間はなかったのですが、

事後アンケートがあるとかないとか。

私が見れるのかはわかりませんが、今後の参考にできれば良いなと思います。

面白い質問をご紹介

授業の終わりに質疑応答の時間がありました。

回答するのは先輩税理士だったのですが、

私だったら即答できないことだらけでガクブルしました。

税金雑学的な知識もしっかり入れていなければいけませんね。

というわけで、どのような質問があったか、

そしてその回答をいくつかご紹介します。

外国で消費税の高い国はどこ?

調べたところ、ハンガリーの27%が現在では一番高い税率のようです。

そして、25%でノルウェー、スウェーデンで北欧の国が続いています。

いわゆる高福祉国家とよばれる国々ですね。

その他にもヨーロッパ諸国は20%前後の税率が多く、

一方でアジア諸国は10%前後の税率が多いようです。

国税庁が出している各国の比較を参考にされてください。

https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page13.htm

国債は誰が買っているの?

国債の残高は2021年3月時点で約1200兆円、

そのうち、日本銀行が約45%と半分弱保有しています。

その他、銀行・生命保険会社等が約35%、年金機構が5%、個人が1%、

そして外国が13%となっています。

日本は比較的に外国比率が低いので、

国債残高が多くても信用不安に陥りにくいとされていますが、

この先のことは結局のところ未知数といえるでしょう。

国債に関する資料はこちらから。

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/index.htm

いつから税金はあるの?

国税庁の税の学習コーナーでは、

飛鳥時代の701年、租庸調という名目で税の仕組みができたとされています。

ちなみに、この時代の税というのは、お金で納めるものではなく、

農作物であるお米や、繊維製品などの物で納めたり、労働をするというものでした。

税の歴史について色々と調べていくと、

魏志倭人伝に「租賦を収む、邸閣あり」との記述があり、

弥生時代には既に税金があったのではないかという説もあります。

今後新しくできる税金は?

これまた難しい質問で、現時点で決定している税金であれば、

森林環境税というのが2024年から導入されることになっています。

これは国税なのですが、住民税と一緒に徴収され、1人当たり年税額1,000円です。

温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るため、

森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する目的で創設された税ということです。

今後新しい税金が作られるときには、税収増を図る目的とともに、

社会課題の解決になるかという目的も重要視されるように思います。

その方が国民の納得感も得られやすいからです。

 

例えば、諸外国の面白い税金として挙げられる、

ハンガリーのポテトチップス税(糖分や塩分の高い菓子類に課税)や、

アメリカやフランスのソーダ税(糖分の多い炭酸飲料などに課税)などは、

国民の健康増進という目的があったりします。

 

新しい税金というテーマは夏休みの自由研究とかで考えても面白いのではないでしょうか。

脱税したら懲役何年?

これはハッとさせられた質問です。

私はわかりませんでした・・・

脱税で逮捕された場合、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金またはその両方の罰則があります。

(所得税法238条、法人税法159条、消費税法64条など)

脱税で逮捕されるのは、余程悪質な場合です。

税金という性質上、お金で解決するのが一般的で、

本来納めるべき税金と罰則的税金を納めて終わることが多いです。

 

まぁでも、刑事罰があるから税金を納めるのではなく、

誰かのために、自分のために税金を納めるという感覚をもってほしいなと思います。

まとめ

というわけで、初めて租税教室をしてみた感想をつらつら書いてきました。

今後も担当するかどうかはわかりませんが、1度体験するだけでも多くの学びがあり、

今後の税理士人生に活かしていきたいなと思っています。

私のつたない授業を真剣に聞いてくれた船橋小学校のみんなに感謝します。

ありがとうございました。

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