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2021年04月19日2021年04月19日

地方税

法人住民税の均等割り免除

こんにちは、世田谷区で税理士をしている井戸川です。

今回はNPO法人においては重要な節税となる、法人住民税の均等割の免除についてご説明します。

本当はもう少し早い時期に出そうと思っていたのですが・・・

とりあえずご参考になれば幸いです。

 

 

 

法人住民税の均等割

法人住民税とは

法人住民税は、法人が有する事務所などの所在する自治体に対して納める税金の1つです。

納付先の違いから、都道府県民税と市区町村民税にわかれています。

※東京都23区については、結局のところ納付先は都に集約されます。

 

そして、都道府県民税と市区町村民税のそれぞれで、

利益をベースとした法人税割と、資本金等をベースとした均等割という税金がかかります。

なので、法人住民税は次の4つの税金が合わさったものということができます。

 

・都道府県民税の法人税割

・都道府県民税の均等割

・市区町村民税の法人税割

・市区町村民税の均等割

 

今回はこのうち均等割にフォーカスを当てていきましょう。

 

法人住民税の均等割

均等割は、赤字であっても絶対に納付しなければいけない税金として有名です。

経営者であれば、又は法人設立を検討したことがある方ならば、

毎年7万円の税金がかかるということは既にご存知かもしれません。

7万円というのは最も規模が小さい法人の税額であり、

実際には均等割は法人の資本金と従業員数によって変わってきます。

一般的な基準は次のようになっています。

 

資本金等の額 従業員数 都道府県民税 市区町村民税
1000万円以下

(資本金がない場合含む)

50人以下 20,000円 50,000円
50人超 120,000円
1000万円超

1億円以下

50人以下 50,000円 130,000円
50人超 150,000円
1億円超

10億円以下

50人以下 130,000円 160,000円
50人超 400,000円
10億円超

50億円以下

50人以下 540,000円 410,000円
50人超 1,750,000円
50億円超 50人以下 800,000円 410,000円
50人超 3,000,000円

 

資本金額が増えると均等割も増えていきますが、

市区町村民税については従業員数が50人を超えると一気に増税となります。

このことは意外と知られていないかもしれませんね。

 

均等割は全国一律という訳ではなく、自治体によって若干増税しているところもあります。

例えば、横浜市は均等割50,000円のところが54,500円だったりします。

 

免除される法人

上記で掲載した表のとおり、資本金がない法人でも均等割が課税されることになります。

そうすると、出資という概念がないNPO法人においても、原則的には均等割がかかるというわけです。

 

ただし、例外的に、NPO法人のうち収益事業を行っていない法人については、

免除申請を行うことで均等割が免除してもらうことが可能です。

東京都においては、NPO法人のほか、公益社団法人、公益財団法人も収益事業を行っていなければ免除対象となります。

 

逆に、一般社団法人や一般財団法人については、

非営利型法人であっても均等割免除の対象とはならず、納税する必要があります。

 

手続きの方法

手続きの方法、申請期限については、各自治体によってさまざまです。

なので、必ず事務所や施設を設置している自治体に確認をしていただきたいのですが、

ここでは東京都の場合について確認していきましょう。

東京都の場合

東京都の場合、申請期限はNPO法人の決算日にかかわらず4月末までとなっています。

決算に合わせて申請であれば、会計報告とともに意識をもって準備できるのですが、

6月決算であっても、12月決算であっても、免除申請は4月末が期日なので間違えないようにしましょう。

 

そして、提出が必要な書類は、次の2つです。

①都民税の均等割申告書

②都民税(均等割)免除申請書

 

免除申請書だけを出せば良いのではなく、均等割申告書も併せて提出する必要があるので気を付けましょう。

 

なお、東京都23区に事務所等を有する場合には、東京都(都税事務所)に提出するだけで完結しますが、

東京都の市町村に事務所等を有する場合には、都税事務所だけではなく、市町村にも提出が必要です。

冒頭にもご説明したとおり、法人住民税は都道府県民税と市区町村民税の2種類あることをお忘れずに。

 

その他の自治体まとめ

さて、私が調べた限りで他県の手続き方法は次のようなものがありました。

 

埼玉県は、最初に免除申請を行うと、その後収益事業を開始しない限り、

自動的に均等割が免除される「みなし減免」制度があります。

とても便利ですね。

 

千葉県においても、埼玉県と同様にみなし減免制度がありますが、

均等割申告書は毎年提出しなければならないとのことでした。

埼玉県と東京都の中間的な手続き形態となっています。

 

その他、いくつかの市町村についても確認しましたが、

市町村でみなし減免制度を採用しているところはありませんでしたので、

均等割申告書と免除申請書は東京都と同様に毎年提出する方法を採用している自治体が多そうです。

一部自治体では、上記書類のほか、活動計算書の提出を求めるところもありました。

 

また、申請期限についてはバラつきがあり、

4月末までの自治体、4月23日までの自治体、決算日から2月以内の自治体などがありました。

 

おわりに

ここまででおわかりの通り、地方税は自治体によって税額、手続き方法、手続き期限がバラバラとなっています。

これが地方税のややこしいところで、間違いやすいところでもあります。

近年は、eLTAXが大きく改善し、共通納税システムが非常に使いやすくなったと実感していますが、

できれば、さらに事務手続き面も共通化してほしいですね。

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