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2022年04月04日2022年04月05日

地方税

住民税特別徴収手続きとeLTAXの活用

みなさん、こんにちは。

世田谷区で税理士をしている井戸川です。

 

もう4月!?ということで新年度を迎えました。

2022年もあっという間ですね。

 

この時期は出会いと別れの季節、会社でも入退社の多い時期です。

入退社の事務手続きのメインは社会保険・雇用保険ですが、そのお話は社労士さんにお任せするとして、税金関係では住民税の手続きがあったりします。

意外と面倒なんですよね・・・今回はそんなお話です。

 

住民税の納め方2種類

各個人の住民税の納め方には大きく2種類あります。それが普通徴収特別徴収です。

 

普通徴収は自分で払う方法特別徴収は給与から天引きしてもらう方法です。

近年は特別徴収での納付が推進されており、従業員を雇う会社は所得税や社会保険料とともに住民税も天引きするというのが一般的です。例外的に、特別徴収すべき従業員が2人以下の場合などで、特別徴収をしなくても良い場合があります。

 

特別徴収は面倒くさい?

所得税を給与天引きしているのなら、住民税を天引きするのも同じでしょ?と従業員は思うかもしれません。しかし、手続きの流れは案外違うものなのです。

 

例えば、国税である所得税と異なり、住民税は地方税であるため、従業員の住まいの地域の数だけ、申告と納付が発生します。お給料を支払う従業員がたった3人だったとしても、それぞれが世田谷区、杉並区、調布市に住んでいたならば、3か所に申告と納付をしなければなりません。11月~12月にかけて各自治体から申告用紙が、5月頃に各自治体から納付書が届きますが、書式もバラバラなので見るだけでイラっとするのは業界あるあるでしょうか(笑)

 

そして、もう1つ大きな違いは、特別徴収をする従業員の入退社があった場合は、自治体に報告をしなければならないということです。これも所得税にはないシステムで結構大変だったりします。

 

ちなみに、豆知識として、納期の特例についてもご紹介しましょう。所得税でも住民税も、従業員から給与天引きした税金を翌月10日までに納付しなければならないというルールになっています。ただし、従業員が少ない場合には毎月ではなく半年に1回でも良いですよという特例もあり、所得税の納期の特例を利用している会社は多いのではないかと思います。実は、住民税にも納期の特例制度があるのですが、所得税の制度に比べ活用している会社は少ないように思います。

 

何故なのか?それは、住民税の納期の特例も各自治体ごとに手続きをしなければならないからです。面倒くさいですよね。しかも、住民税の納期の特例の納付月は6月と12月で、所得税の7月と1月とは1か月ずつズレることになります。面倒くさいですよね(笑)

 

現に私のお客様の中でも住民税の納期の特例を利用しているのは1社だけです。その会社は家族経営で全員が同じ自治体に住んでいるので私から提案して手続きをさせていただきました。それ以外の場合はやはり使い勝手は良くないかなと思います。

 

従業員入退社時の住民税の手続き

ここからは従業員の入退社があった場合の住民税の手続きについてみていきましょう。

 

入社時の手続き

世田谷区在住の場合は、「特別徴収への切替申請書」を提出します。この書類の名称も自治体によって異なりますのでご注意ください。

 

従業員の住所や、何月から特別徴収を行うかなどを記載し提出します。住民税の切替年度が6月からとなるため、6月から特別徴収を開始することも可能ですし、給料を払い始める月からとすることも可能です。ただ、住民税の額は自治体からの通知がないとわからないため、給与計算時までにその通知がもらえるのかなど事前に確認はした方が良いかもしれません。

 

退社時の手続き

世田谷区在住の場合は、「給与所得者異動届出書」を提出します。

 

住民税の特別徴収額は、6月~翌年5月までの金額があらかじめ自治体から通知されます。そのため、その間で退職があった場合には、何月分まで徴収済みなのか、その後の住民税の納付方法をどうするのかなどを自治体に報告する必要があります。

 

退職後の住民税の納付方法の選択は3つの方法があり、①普通徴収(自分で納付)に切り替える方法、②最後の給与でまとめて住民税を天引きする方法、③転職先で特別徴収を継続する方法があります。③の方法はグループ会社間での異動などであれば選択することもあると思いますが、通常はあまり選択されないのではないかと思います。①と②も自由に選べるというわけではなく、1月~5月に退職する場合は②一括徴収の方法が原則です。自治体としてはなるべくとりっぱぐれのないようにしたいですからね。

 

eLTAXのススメ

というわけで住民税の手続きが意外と面倒くさいということをお伝えしてきたわけですが、その手間が若干省ける方法がeLTAXの活用です。ここからはその話をしていきたいと思います。

 

各種届出

上記でご紹介したような従業員の入社時、退社時の手続き書類について、eLTAXで電子申請することができます。紙の場合は、各自治体で異なる書式で、もしくは手書きで書いて郵送しなければいけませんが、eLTAXであれば、パソコン上で入力しそのまま電子送信できます。私自身も税理士事務所勤務時代には紙申請をしていましたが、独立後に調べたところ電子申請できることを知り、業務効率化に役立っています。

 

なお、eLTAXにはダウンロード版とWEB版の2種類あり、住民税特別徴収の届出関係はダウンロード版でしかできないのでご注意ください。WEB版でどれだけ手続き画面を探しても見つかりません。

※私はめちゃくちゃ探して、eLTAXのコールセンターにまで問い合わせをしてしまいました(笑)

 

納税

納税方法もいくつかあり、昔ながらの納付書を金融機関に持ち込む方法、ATMやネットバンキングでペイジー納付をする方法、登録した銀行口座から引き落としする方法(ダイレクト納付)などがあります。

 

私の事務所では、どの方法が良いのかはお客様にもよってくるのですが、納付書納付をご利用いただいている方は極めて少ないです。ネットバンキングを利用できるお客様はペイジー納付を、ネットバンキングをあまり利用されないお客様はダイレクト納付をしてもらっています。

 

ダイレクト納付の場合は、事前に銀行口座の登録が必要になります。登録までに2週間程度かかるので、余裕をもって手続をしてみてください。

 

ペイジー納付やダイレクト納付の方法を利用した納税はダウンロード版からもWEB版からも可能です。

 

住民税特別徴収については、年度初めの6月だけ調整のため住民税額が異なる場合が多いですが、それ以降は7月~翌5月まで同額となるため、納税データをコピペして納付手続ができるため非常に楽になります。もちろん複数の自治体の納付があっても一括して納付ができます。

 

おわりに

源泉所得税については、納期の特例を使って半年に1回にしていたり、ダイレクト納付を利用しているところも多いと思います。一方で、住民税特別徴収については毎月納付書で納付していますというところも多いのではないでしょうか?実は住民税(地方税)にも源泉所得税(国税)と同じような手続きがあることをぜひ知っていただき、毎月銀行まで納付しに行くのが面倒くさいと思っている経営者や経理担当者の方は、顧問税理士に聞いてみましょう。

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