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2022年04月01日2022年04月01日

法人税

ニトリの決算日変更と法人税法上の会計年度

こんにちは、世田谷区で税理士をしている井戸川です。

今回は時事ネタということでニトリの会計年度について取り上げたいと思います。

ニトリはお手頃家具の販売を行っている会社であることはみなさんご承知でしょう。

私も何を隠そうニトリをよく利用しています。

自宅兼事務所を開く際に、机や本棚、ソファなどはニトリで揃えました。家庭用がメインのニトリですが、実はオフィス向けの家具等も販売しており、スモールスタートの事業主にはおススメです。

というわけで本編にいってみましょう。

 

 

ニトリの決算日

私も今回初めてしったのですが、ニトリの決算日は2月20日でした。

法人は自由に決算日を決められるといっても、多くの企業は諸々の合理的な理由から月末を決算日としています。

しかし、冒頭の通りニトリの決算日は2月20日なのです。

このような月の中日の決算は会計管理上は面倒くさいのではないかと想像します。

過去、修業時代も含めて私は出会ったことがありません・・・

 

そんな不満の声が社内からあがったかどうかわかりませんが、次のような理由により決算日を変更することが公表されました。

 

当社の事業年度は、毎年2月21日から翌年2月20日までとしておりますが、当社グループの事業管理等において効率的な業務執行を図るため、また、同業他社との月次比較の利便性等を考慮し、当社の事業年度を毎年4月1日から翌年3月31日までに変更するものであります。

 

 

ちなみにニトリは、2022年2月期の決算を終えて35期連続増収増益という偉業を達成しています。

上場来としても32期連続増収増益となり、これは世界1位タイの記録ということです。

今回の決算日変更により、今年度は2022年2月21日~2023年3月31日の13カ月強が一会計年度となる変則決算になります。

これは33期連続増収増益を盤石のものにするためとかどうとか・・・(笑)

 

税務上の会計年度

ところで、税務上も13カ月強という変則的な会計年度をもとに申告をすることになるのでしょうか?

答えはNOです。法人税法には次のような規定があります。

 

法人税法13条

この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。

 

法人税法では1年を超える会計期間を認めていません。

それは何故なのでしょうか?

定款で定められた会計期間であれば何年でも良いとなってしまうと、会計期間を100年とかに設定して、申告を免れることができるからです。

そのため、定款上で会計期間を長く設定していたとしても1年ごとに申告をしてくださいねという規定が設けられています。

ちなみに、短い分には何も文句はいわれません。

私はお目にかかったことはありませんが、例えば半年決算法人や四半期決算法人があったとすれば、その決算ごとに申告をすることになり、1年間に延ばされるわけではありません。

 

というわけでニトリの場合は、会計上は2022年2月21日~2023年3月31日が一会計期間となりますが、法人税法上は2022年2月21日~2023年2月20日と2023年2月21日~2023年3月31日に分けられ、2回の申告が必要になるということです。

これはこれで経理泣かせですね。

 

おわりに

というわけでニトリを題材に会計年度と申告についてお話してきました。

決算日は一番最初の最初、設立の際に決めることになります。

そのため起業しようとしている方は、会計上の手間なども考慮して決算日を決めましょう。

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