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2021年02月08日2021年03月08日

所得税

成年後見人の確定申告

みなさま、こんにちは。

世田谷区で税理士をしている井戸川です。

先日のブログでは、成年被後見人の確定申告についてお話しました。

今回は前回に関連して成年後見人の確定申告についてみていきたいと思います。

成年被後見人の確定申告についてはこちらの記事をご覧ください。

 

 

後見人が受け取る報酬

成年後見人は、家裁へ報酬付与の申立てを行うことで成年後見に係る報酬を受け取ることができます。

この後見人報酬も原則的には確定申告を必要とする収入となります。

そのため、成年被後見人のことだけでなく、ご自身の確定申告についても考えていかなければなりません。

それでは後見人報酬に関する確定申告の注意点について詳しくみていきましょう。

いつ申告するのか?

後見人報酬の受け取りプロセスは、次のような流れになります。

 

後見業務の実施➡家裁へ報酬付与の申立て➡報酬額の決定➡報酬受け取り

 

上記のプロセスは基本的には年をまたぎますが、確定申告は暦年ベースで申告をする必要があります。

そうすると、後見人報酬についていつの年分で確定申告をしなければならないのでしょうか。

答えは「報酬額の決定」した日の年分です。

報酬を受け取った日の年分と考えてしまいがちですが、報酬額の決定した日の年分が正解です。

また、複数年度まとめて報酬付与の申立てを行うと、報酬額の決定もまとめて下されるため、

納税が生じる可能性が高くなってしまいます。

手間でも毎年報酬付与の申立てを行うと余計な税金を支払わなくてすむでしょう。

何所得になるのか?

所得税法では、収入の種別を10個に分けています。

その中で後見人報酬が区分されるのは、事業所得雑所得です。

ざっくりとした分け方は、成年後見業務をたくさん受任しているか、たまに受任しているかで判断します。

例えば、司法書士、社会福祉士などが成年後見業務を事業として行っている場合には事業所得になりますし、

親族等が成年後見業務をしている場合は雑所得になるでしょう。

 

ちなみに余談ですが、税理士が成年後見人を受任した場合の後見人報酬は雑所得になるという見解が主流です。

これは全体として税理士が受任する件数が少ないことが起因しているように思いますが、

親族としての立場ではなく、税理士としての立場をもって後見業務を行っている場合には、

事業所得に含めてもよいのではないかと私は考えています。

何が経費になるの?

所得税は、『(収入-経費)×税率』で計算されます。

したがって、経費が多ければ多いほど税金を減らすことができます。

ただ、後見業務のために支出した費用は、通常は成年被後見人の財産から支出することになるため、

成年後見人が自己負担によって支出する経費はあまり多くないと考えられます。

もちろん自己負担した経費については、確定申告の際に収入から引くことができますので、

成年被後見人の財産から支出しないものについても領収証はとっておきましょう。

例えば、成年後見業務を勉強するために購入した書籍代などは経費として計上して良いでしょう。

それでも、経費とすることができる支出は多くないと考えられます。

この場合、親族等が後見人報酬を受け取る場合には、

家内労働者等の必要経費の特例という制度を利用することができます。

この制度は、実際に必要経費が55万円もなかったとしても、55万円まで経費を計上してよいという規定です。

この家内労働者等の必要経費の特例については状況によっては計算が難しくなる場合もあるため、

次回改めて詳細をご説明していきたいと思います。

 

それでは本日はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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